創作

遠くにありて思ふもの

月のない夜だった。帰省した地元で、同級生たちと飲み会をした帰り道。夜に洗われたような風が、火照った身体に気持ちいい。 虫の鳴き声しかしないような静けさに、不意に踏切の警報音が響いた。ゆっくりと遮断機が下りて、私もその目の前で立ち止まる。暗闇…