遠きにありて思ふもの

通っていた中学校の校舎が一部なくなっていた。

よく遊んでいた公園の、お気に入りの遊具がなくなっていたし、

ゲートボール場は芝生になっていた。

古くなって、こどもが減って、元気な老人も減った。

ふるさとはいつも、衰退を意識させられる。

 

けれど、ゆっくり散歩してみれば

僕と同じ制服の中学生は部活で活躍しているし、

昔と違って色とりどりのランドセルが跳ねてる。

空き地には家が建ち、朝顔を毎年きれいに咲かせているお家は

今年もずらりとプランターが並んでた。

ああ、よかった。ちゃんと、この町は活きてる。

 

だいじょうぶ、だいじょうぶ。

僕の記憶のなかのものは、急に古くなってしまったように見えるけれど。

見てないうちに、芽吹いてた。