十五夜の夜。
生徒会室か出る頃には、すでに外は暗くなっていた。
夏服の制服に、まだ指定じゃなかったカーディガンを重ねてやや肌寒いくらい。
2つ上の先輩たちと話しながら歩く川沿いの道。
川に、月の光の道が出来ているのを見つけて
みんなで振り返った先には、低く浮かぶ十五夜のお月さま。
先輩が興奮しながら言う。
「この前の満月の日にね、同じ線の3人で浜に月の出を見に行ったの。
夕日が落ちてからはすごく暗くってね、海が少し怖かったよ。
でも月がゆっくり昇ってきて、海には黄色い光がきらきらして
月明りってすごく明るいんだなって思ったの。」
それはすごく素敵な光景に思えた。
「今度の満月は、一緒に行こうね」
その約束は、果たされることはなかったけれど。
心の中でずっと残ってる景色。