アニメ ピンポンにまつわる個人的なこと

twitterであまりにみんなが褒め称えているから

ちょっと遅れて見始めた、

アニメ ピンポンのはなし。

 

私の、私たちの年代にとっては、

ピンポンといえば中学生の頃に実写映画化され

時代の寵児窪塚がアイキャンフライした

あのイメージが強い。*1

 

中学生。

私は卓球部だった。

 

あまり積極的に公言したくはないし

今だって昔の部活動を聞かれたら運動部だったと濁すけれど

この話をするのにはぐらかすわけにはいかない。

だから、しっかり覚えている。

 

春の中総体の最終日、いつもつまらない話しかしない

運営本部が、最新の映画のポスターを持って件の映画を宣伝した。

曰く、「技術的に学ぶところはありませんが、得るものはあると思います」

無造作に置かれたリーフレットと、割引チケットを部員と分け合った。

 

アニメなのにやけにリアルな球の音が、当時の記憶を蘇らせる。

月本と同じカットマンだったからなおさら。

玉を殴りつけるあの一瞬をどこまでも引き延ばして

ラバーの上で私のための回転を練り上げる感覚。

返球までの僅かな時間で球を追いかけ追いつく感覚。

決して強くなかったくせに、イメージだけはしっかり持っている。

コーチの、おかげで。

 

アニメ3話を待つ週に、

コーチが亡くなった。

 

旅行中にかつての部員から連絡を受けた。

俄かには信じられなかった。

だって、去年の夏に会ったときには

中学も、高校も母校のコーチをしていて

強豪校になってきたんだよ、って嬉しそうにしていて。

身体を壊して休んでいた私を励ましてくれて。

 

その時に教えてくれたブログを、すがるように確認したら、

私がこれから行こうとしているところの写真を公開していた。

「まだ紹介しきれてないのだが、まずは写真のみで」と

満開の桜をたくさん。

 

「愛してるぜペコ」

自分を育ててくれる人がそう言ってくれる。

褒めて認めて、厳しく向き合ってくれる。

大人になって振り返って、改めてその幸福に気が付く。

感謝していた。でももっと感謝するところがあった。

まだ何も伝えていないのに、もう会えない。

もう二度と、会えない。

 

軽快な球の音。

シューズが床を鳴らす。

アニメのなかでのプレイシーンはとても楽しかった。

自分がやっているかのように楽しかった。

追憶を、ありがとう。

 


宇多田ヒカル - 桜流し(Short Ver.) - YouTube

全ての終わりに愛があるなら

*1:あのキャラクターを演じきった窪塚のすごさが今になってわかる