眠るのが下手だ。
たいてい浅く夢を見続けて、疲れて目が覚める。
夏なんか特に。
寝付けない夜に、ベッドを抜け出して
だけど行くところもなく、
前の家だと玄関前で丸まって眠るのが好きだった。
こんなところで寝ちゃいけない、
とだんだん眠くなってゆく背徳感。
浴槽の中で眠ってみたい、とも思う。
できればまるく、つややかな浴槽に
毛布だけ持ち込んで。すこし入浴剤のにおい。
よしもとばなな「キッチン」では
キッチンで眠るという画が描かれるが
まさにあんな感じ。
ブランケット症候群の場所を求めている。
水族館の水槽の前で眠ることにも憧れがある。
青い、ゆらゆら青い夜。
夜行性の生き物たちが元気に泳ぐ姿。
眠るのがもったいない夜がすきだ。
夜行列車の車窓。
旅行先の布団。
満点の星空。
眠れないなら、眠らない夜を楽しめたらいいのに。