暦と暮らす

これを書くと身バレしそうなのだが

毎年大寒大暑は休むと決めている。

特に大寒は連休にすることが多い。どうせ体調悪くなるので。

 

派手に身体を壊したときから10年近くが経とうとしているが

そのころから暦は割と気になる指標だった。

春分の日夏至秋分の日、冬至、土用の日。

身体の状態を次の季節に適応できるように準備をすることで

なんとか日々を立て直していったのを覚えている。

 

感覚的に理解されやすいのが夏の準備で、

汗をかくのが難しい体質なので、春から汗を出せるように練習をする。

少し汗ばむような運動をしたり、心がけて外に出たり。

ナトリウムカリウムバランスを崩しやすくなるので、野菜も多めに摂取する。

 

こんな感じの「この時期心がけること」を少しずつ積み重ねていくのだけれど

暦を意識していると、崩しやすい時というのもわかってくる。

それが冒頭挙げた大寒大暑だ。次点で土用の日。

単純に環境が厳しいので、そんな日に労働なんてして消耗すべきではない。

と、ある時気付いてからは毎年の予定。

だいたい1月に年間カレンダーを眺めて、「この日休むぞ」というのを年休の7割くらい決めるのだけれど、その計画に入っている。

 

休みにして、身体の調子が悪ければ横になってるし

動けそうなら動けそうなりに、溜まっていた家事をしたり、ストレッチしたり、ごくまれに筋トレしたりする。

たいていその前後も調子が悪くて、家の中が荒廃しがちなので、動けたら洗濯できるだけで気分が晴れる。

平日だったら、朝からスパ銭で漫画読み続けたり。

空いてるし、漫画喫茶より快適だし、飽きたらマッサージもさくっと入れるし。

強制的に休むことができる環境としてかなりよい。

これやったらしばらく調子いい!っていう何かに巡り合いたいんだけれど

まだ決め手に欠ける。なにかいいボディメンテナンスないかしら。

 

 

 

シルクパジャマを買った

先日、シルクパジャマを購入した。その価格、5万円。

 

これを気軽に買えるような収入があるわけではないのだけれど

シルクパジャマの快適さが分かって、かつある程度の仕様を求めたら

これくらいするっていうのが納得できたから思い切って買った。

 

シルクパジャマはすでに2枚使っていて、3代目としての購入。

定評のあるワコールと、お手軽価格のグンゼを使用してきた。

お手頃価格と言えども3万円近いというところで相場が察せられると思う。

高いから洗いかえストックなどなく、1枚で運用。繊細な布なので、毎度毎度手洗い。

この時点でだいぶ利用者を選ぶと思うが、慣れてしまえば平気だった。

 

なにより、寝返りのしやすさが段違いなので

もはやシルクパジャマ以外使えない身体になっているというのが正しい。

万年不眠体質で、ぐるんぐるん寝返りを打つため、この快適性は代えがたい。

サテン生地でも同じでは?という意見もあるかと思うが、静電気がまとわりつく感じが苦手なので、個人的にはなし。

シルクだと、最適な布で体温が調整されている安心感がある。夏でも冬でも長袖長ズボンのそれ。

どんなに高級ホテルに行ってもシルクパジャマには出会わないので

ご家庭でしかできない贅沢のひとつであろう。

 

たぶんトータル5年くらいは使ってるのだけれど

メーカーによって耐久性が違うというのが2社使っての感想。

まだ最適解にはたどり着いていない気がして、次のステップとしての価格帯に踏み切った。

 

ここまで読んで、使ってみようかなと思う人もいるかもしれないので

参考程度に我が家の洗濯事情を記載しておこう。

基本的には週に1度、週末に洗濯する。

洗面台をしっかり磨いた後に、中性洗剤のTHE洗濯洗剤を3プッシュでぬるま湯を勢いよく投入。

パジャマがそこそこ踊れるくらいの水量になったら、パジャマを投げ込んでゆすり洗い。初期は色落ちが目に見えてけっこう驚く。

その後、排水して、先ほどと同じくらいの水を溜めてすすぐ。

あとは洗濯機の脱水を設定できる一番短い時間にして脱水、のち、室内干し。

 

洗面台を磨くタスクと地続きでやっているから続くのかもしれない。

THE洗濯洗剤いい匂いでいい感じのリフレッシュになるし。

次の生活向上ネタを探している方がいたらシルクパジャマ、おすすめです。

 

お題はフェイクです

notionで考え事するようになってから顕在化している問題の一つに

「キーボードが疲れる」というものがある。

これまで一度もキーボードにこだわりを持たずに過ごしてきており

単に配線都合で間に合わせで買ったキーボードと付き合っているのだけれど

とにかく手が疲れる。

業務で使っているときなんかは同じショートカットキーを延々押すことになったりするのだけれど、指が付け根から取れそうな痛みが出たりする。疲れるどころではなかった。

ってことで、そこそここだわったキーボードを一時的に借りて

いっちょ2000字くらいタイピングするかと思って開いたのが

このブログである。

 

なので、お題で語りたいことがあってお題選択したわけではなく

とにかくひねり出すために選ばれた「一生モノって持ってる?」なので

覚悟のゆるい一生と思ってもらってよい。

 

問われて最初に思い出したのは

アクアスキュータムのシングルトレンチコート。

30歳の冬に、いい加減大人なんだしと思ってブランドものトレンチコートが欲しいとうんうん唸って選んだものだ。

有名どころだとバーバリーとかなんだろうけれど、そこに安直に乗りたくはなく

レディースとしては珍しめのアクアスキュータムに落ち着いた。

ここでダブルボタンのトレンチではなくシングルというのもこだわり。

細身なのでダブルにすると胴回りがうるさいなと思ったため。

裏地がかわいいところもお気に入り。

初めてちゃんとしたトレンチコートを買ったけれど、もともと軍服であることに由来する装飾の数々をちゃんと解説してもらって購入した。よい購買体験だった。

ちゃんとした上着があると、なに着たらいいんだろう?のシーンで助かることが多い。フォーマルで困らない大人になれてよかった。

 

まだまだ字数が足りないので

次のアイテムに思いを馳せると、生まれる前から家にあって、今も自宅にある脚立兼入チェアだろうか。

高いところのものを取るのって、子供のときのほうが需要ある。だって身長が利便性想定の範囲外だから。

というので、何かとモノをとるのに使っていて、ハイチェアだと大人と話すのにもちょうどいいし、かなり身近な存在だった。

一人暮らしを始めるに当たって、なぜかこいつもついてきた。

たぶん照明器具取り付けるために、という目的のためだけだと思うのだけれど

目的を果たしたからと言って遠く離れた実家に戻るわけもなく

ずっと人生を共にしている。今は高いところの掃除のときなんかに引っ張り出されるくらいで、普段は収納の奥に押し込められているものの

まあこんなときにふと思い出されるくらいには相棒である。

 

ここらへんで1100字なんだけれど

キーピッチにまだ慣れてないから誤打が多い。誤字ったまま投稿していないか心配である。

なんとなく、手は疲れてきた気がする。

指先が冷えているせいかもしれないけれど、指先への力のかかり方がちょっとつらい。

あと確実に小指が痛い。

 

そもそも私の手が弱すぎるのでは?という悲しい仮説はさておき

疲労を検知してまで続けることもないので、これにて。

 

何か書くことだけを目的に一息で1300字くらいかける能力がまだあることが分かってよかった。

 

今週のお題「一生モノ」

今年やりたいこと100を書こうとした

手帳界隈でこの時期よく見る

今年やりたいこと100をなんとなくやってみたら

まあ全然出てこないんだけれど、

出てくるものはだいたい後回しにしていたことだった。

というのが可視化されたので、この連休中にけっこうやっつけた。

すぐ片付くのはよいけど、継続するものとか、時期を待たなきゃいけないのもあるため、

後回し事項の1つEvernoteからの移行メモ候補としてのnotionにやっと手を出した。

みんな使ってるなーと思いつつ、触ってなかったことのひとつ。

 

瀬戸康史がちょうど解説動画あげてたのもあって

使い始めは特に戸惑うこともなく。

記事書き始めたら書きたいことが次々出てきて、今書くのがめっちゃ楽しいフェーズ。

気になってたことを書き連ねてる途中で別の気になることが出てきても

さくっとそれを書き置く場所があるのがすごくよい。

 

ちょうど紙モノを買うのを自分に解禁したところで

紙でタネを置いて、notionで苗床作ってる感じ。

久しぶりに人生進めてる感があって楽しい。

2023年振り返り

マジこうやって振り返ってないとすぐ忘れるからブログ持ってる各位は書いたほうがいい。

 

ってことで今年も思い出し作業をやっていきます。

 

水族館巡り

浅虫水族館

水族館オタの間でよく言及される浅虫水族館。噂にたがわぬ地域密着展示で活きがよい。みんな健康そうでよかった。

・うみがたり

映えスポットとして知られるうみがたり。雪国仕様で室内でだいたい見れるのが助かる。薄暗くて大変居心地がよかった。

・須磨水族館

スマスイ呼ばれ親しまれている水族館だが、今年5月末で閉館。ということで5月に滑り込み来訪。教科書的な展示が科学への真摯な態度をうかがわせる。

リニューアルオープンを控えているが、商業的になりそうでいろいろ心配。

鳥羽水族館

ラッコが見られるうちに見ないと、と思って来訪。SNSで人気なのであえて下調べしないで行ったらボリューム満点、いろんな珍しい生き物がいて大変興味深かった。

地元の人間はそのすぐそばにある伊勢シーパラダイスのほうがいいというので、今度はそちらも行かねば。

 

泊まったところ

ABBA RESORTS IZU - 坐漁荘

いろいろ泊まってきたけれど、今のところここのスタッフの方が一番あたたかかった。滞在中ずっと保護されている安心感があった。なにかと声をかけてくれて、人間味あるやりとりができる。館内もお料理もよいのだけれど、この安心感は人が作り出すものだよなあと感じた。

・赤倉観光ホテル

うみがたりに行く、ありきで見つけたところなのだけれど、景色は素晴らしいし、スパは最高峰だし、館内は重厚な美しさだしで、最高だった。

スパは世界的なスパのawardを2年連続受賞しているらしく、こういう世界でよくある箔付けのための受賞かなとか若干舐めたことを考えてもいたのだけれど、リラクゼーションの考え方がガラっと変わる特別な体験になった。

あまりに素晴らしくてその後の夕食のときに延々スパでの体験について語り、「本当によかったんだね…」と呆れられたほど。

・ベネッセハウス オーバル

ずっと行ってみたかったベネッセハウスオーバル。の、スイートルームに泊まった。

ミュージアムからモノレールで登った、オーバル宿泊者だけの空間。

瀬戸内と直島のビーチが視界いっぱいに見える贅沢。めちゃくちゃ雨のときになっちゃたんだけど、あれ晴天だったらまぶしくて見えなかったんじゃないかと思う。

白くけぶりながらも見える島々や船、趣があって美しかった。

・潮路亭

鳥羽国際ホテルの別邸。泊まりに行くちょっと前に鉄腕ダッシュで登場しててアガった。パールオーロラ風呂なる露天風呂が今まで見たことがない物理挙動していてあれを見に何度でも行きたい。あと効能がすごくて切り傷(年を取ると全然治らない)があっという間に治って怖い。

 

YouTube

・ゆる言語学ラジオに食傷気味になり、民俗学音楽学を見始めた

ゆる学徒カフェのオープン前くらいまでは見てたんだけど、堀元さんがあまりに倫理観ないなって思って見るのしんどくなってきた。相対的に黒川さんがよく見えて、黒川さん見たさに民俗学音楽学を見たら浦下さんのストイックさにも好感を持ってみるように。

・東海オンエアが休み始めた

から、見る動画に困りつつある。ほぼ毎日見ていたので…

・西園寺チャンネルをよく見るようになった

もともと交通系として認識していたけれど、日本全国鬼ごっことかの企画ものがよくてシリーズ通しで見るようになって、最近は過去動画織り交ぜつつ最新のも見てる。

交通系のひとたちって同じ場所で同じこと言うから面白い。し、私も同じ部分が刺さる。

・元気がない時はハロプロを見るに限る

体調不良でギリスマフォを見れるときにはハロプロライブ動画見てる。楽しくて華やかな気持ちを少しでも味わえる。ありがとうアイドル達…。

 

健康

・1か月くらい股関節亜脱臼クセがついて車椅子使ったりした

若い時にも脱臼癖あったけど、久しぶりに再発。筋力低下です。

・体力の低下が著しいことに抗う

亜脱臼対策で2か月くらい筋トレ習慣がついた。そして飽きて終わった。

しばらくしてそろそろヤバいなと思ってswitch買ってフィットボクシングを始めた。

虚弱が急に運動すると身体壊すなと思って2,3日に一回やってたんだけど、運動性喘息を発症して1か月休んでいる。喘息キツくて肺炎フラグまでたった。

・頭痛薬の代わりに筋弛緩剤を飲むようにした

ちょっと飲みすぎているもので…

とはいえ筋弛緩剤もけっこう怖い効き方をする。家にいるときだけ服用。

・秋口に手が痛くなるのが再発。コロナ後遺症っぽいなと思っている。発症当時から肩から先の血行が悪くなった感じがある。

 

映画

・元日にTHE FIRST SLAM DUNKを見るという最高の年始をした

あれ映画で見てよかったなー。バスケがまた世間で盛り上がっているようでうれしい。

YouTubeショートとかでいいプレーをつまみ食いするの、スポーツ観戦入門としてよい。

・ミステリと言う勿れ

平日休みの隙間時間にふらっと見に行く、というシチュエーションに大変良かった。この物語のわざとらしさの臭いは気になりつつも、要所要所で挟まれる言葉の気持ちよさだとか、わだかまりの解消という快楽を得たくて見てしまう。

名探偵コナン 黒鉄の魚影

コナンは第1作目の映画からすべて映画館で見ている、という人生の継続を大事にしているので何があろうと見に行っている。

座席が前過ぎてちょっと全部を見切れてない気がする。スピッツが最高であることを再認識した。

 

遊び

・キャンプ増えた

というかほぼ焚火。キャンプ仲間たちがいるのでちょいちょいお声がかかる。

で、いい年のお友達ばっかりなので、おいしいものをおすそ分けしたりして和やかにやってる。

・天穂のサクナヒメ

勤労感謝の日に購入するの正しい気がして買った。(勤労感謝の日はもともと稲の収穫祭)

百姓の孫なので、米作りはかなり序盤から収量MAXで、ステータスもどんどん上がっていった。ちょろいわ。

・庭木選定

5年目ともなるとだいぶ木が育っており、切っても切ってもでかくなる。

炭素固定してるなーと思いながらガンガン剪定するの楽しい。

 

家電レンタル

除湿器

6月から3か月レンタル。梅雨時期の、除湿したいけどエアコンだと寒い、の解消。

空気中から取っているとは信じがたいほどの量がタンクに溜まる。大変快適。

でも、ある程度エアコンが除湿しやすい気温になるとタンク空っぽだったりするから、うちはそんなにスペックいらなかったのかも。洗面にペルチェ素子のやつでも足りる?

デロンギオイルヒーター

昨年度は結構ハイスぺモデル借りたんだけど、今シーズンちょっと下のやつを借りたら音がうるさい。内部の温度差でカンカン音が鳴る。蒸気機関車かよ。

オイルヒーターの体験良かったから購入しようかなとも思ってたけれど、機差がモデル差なのかわかってからがいいな。

・ロボット掃除機

水拭きできるやつが欲しくて、でも各社出し始めで仕様がいまいち完成してる感じしないのでレンタル。案の定というか、びしゃびしゃになりすぎるところがあったり、メンテ過剰でアプリ通知がウザかったりする。消耗品使い切ったらまた別の借りよう。

 

スキンケア&メイク

・朝HABAパウダー洗顔 夜赤箱

田切ヒロの動画で、パウダー洗顔を泡立てないで顔に乗せて、「顔で泡立てるのよ~泡立つときが一番洗浄力あるんだから~」的なことを言っているのを聞いて、泡立てるのをやめた。超ラク

ラクついでに朝マスクを初めて使ってみたけど、使用感あんまり好きじゃなくてやめた。

シャンプーを牛乳石鹸の固形シャンプーでやってるから、その延長で夜は赤箱だけでやってる。これはツケがありそうなので、固形シャンプー使い終わったら見直す。

キールズ DS RTN リニューイング セラム

去年のクリスマスプレゼントでもらった。夜だけ使用。けっこう刺激を感じる。

夏は紫外線強いせいか痛くなったからやめた。

今年の肌はだいぶ安定していた気がするから、効果はあったのかもしれないけれど、これを使い始めたことによるかはあんまり実感なし。

・メイクちゃんとしよ

コロナ禍マスク生活をいいことに数年化粧してないので、昨日久しぶりにやってみたらやり方忘れた。というか多分手持ちのものが劣化してる。

来年はメイクそれなりにできるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

旧札を放出した

来年にはお札が一新されるというので

いいかげん貯金箱に入れている旧紙幣を減らそうと思った。

 

小2くらいのときに与えられた貯金箱を久しぶりに開けてみたら

夏目漱石がぎっしり入っていた。

私は貯金ができる子供だった。

月に与えられるお小遣いは小学校で学年×100円、中学校のときで×1000円、高校は5000円一律。

あとはお手伝いが給料性で、風呂掃除30円、食器拭き10円、みたいな感じ。

夏休みは毎日玄関を水洗いしていたんだけど、あれはいくらだったか。

 

基本的にお小遣いの範囲で楽しんでいたし、

たまにどうやっても買えないもの、主に服は交渉次第で買ってもらえた。

ということで、貯金箱の中身は基本的にお年玉ないしそのおつりだ。

 

頑張って貯めていたそれらも、大人になってしまえばあっという間に消えてしまう。

券売機とかは軒並みはじかれて使いどころに困ったものの、病院窓口で使えた。

子供のころにもうちょっと欲しいもの買ってもよかったなと思うものの

昨日だって必要ではないけれど欲しいもの、を買うかどうかに10分迷っていたくらいだ

きっと使えなかっただろう。

 

ちなみに、ラメっていない福沢諭吉新渡戸稲造夏目漱石のお三方は2007年4月に停止したらしい。

2007年は就職した年なので、自分で稼いだものが現紙幣、与えられたものが旧紙幣と考えることができる。

一人暮らしを始めたとき、ATMを使うとなぜかピン札が出がちだと思っていたが、紙幣更新のタイミングだったからなんだな。

 

貯金箱からは2000円札も出てきたので、旧紙幣の4種を1枚ずつ残しておいた。

さて、ずいぶん空間を持て余している貯金箱はどうしよう。

 

 

ありのすさびに にくかりき

誕生日のお祝いで、旅行していた帰り道。

見覚えのある市外局番からの着信履歴に気付いて

調べてみたら地元の警察署だった。

 


この時点で察しがついたのだけれど、実家で一人暮らししていた母親が亡くなった。

 


こういうのをノウハウもなしにWebコンテンツにするのもなー

という抵抗感はありつつ、亡くなってから約半年が経ち

気持ちもけっこう動くので記録しておこうと思う。

 


悪口を書き連ねればキリがないようなひとだった。

私を幸せにすることはできないと悟ったような子育てを受けていた。

私の結婚パーティーに親は呼んでおらず、アルバムだけは作って渡したのだけれど

「うちじゃこんな笑顔はできなかったものね」としみじみ言っていた。

中高生だった6年間、まともに話せた記憶がない。更年期障害とキッチンドランカーを逸脱したアル中の相乗状態だった。暴力もあった。

 


彼女の葬儀の少し前から、そのころの暴力が発端と思われる股関節亜脱臼をこじらせて、杖なしでは歩けなかった。たまにあるんだけど、やけに悪化するなと思ったら。

虫の知らせみたいな痛みだった。

 


今どきは棺桶に贈る品とかは入れられないらしい。

花だけはいくらでも詰めていいとのことだったので、葬儀屋のメニューで一番多いものを選び

さらに実家の庭で彼女が育てていたものを摘んできて追加した。

「こんなにいっぱいお花入れてもらってるの見たことない」と葬儀屋。

 


子育てを終えた母が楽しんでいたのが庭いじりだった。

常に庭にいるから、電話をしてもインターホンを押してもなかなか出ない。

雪の積もる地域で、育てるのが難しい地質なのだけれど工夫して楽しんでいたようだ。

かつて、母の日に毎年かわいい鉢植えを贈って喜ばれてはいたのだけれど

「気候が合わないみたいで、ダメになってしまうのが悲しい」と言われてその習慣は終わった。

 


居なくなってしまえば、もう嫌な思いをすることもない。

与えてもらったもののありがたさや、本当に分かりにくい優しさなんかを

何度か夢で取り出しては、失ったことを思い知る。

 


私が身体を壊していた数年は、彼女の精神状態が良くて

奇跡のように仲がよかった。暇を持て余しては電話して、他愛のない会話をした。

「3歳くらいのときさ、2人で映画に行ったじゃない。あれなんだったの?」

「下の子が生まれてから、かまってあげられないのが気がかりでね。ずっと2人で出かけたいなって思ってたの」

そのことを聞けただけでよかった。つらいだけの存在じゃなくて、ちゃんと母親をしてくれていた。

 


攻撃的なときと過保護なときを揺れ動いていた。数年前からはやけに攻撃的だったのと、コロナ禍もあってろくに連絡をしていない。

あるとき、母親が文庫化されたら読みたいと言っていた小説が本屋に並んでいて、読み終わったら送ろうと思って買った。

どうせ送るならと、彼女が好きそうなコミックエッセイも買った。

だけど、あんまりコンタクトをとるのも嫌で、レターパックで送ってみたら電話が来て、これ図書館に寄贈していいのよね、と。

この子にしてこの親ありというか、私たちはモノを所有したくない気持ちが強い。本当に気に入ったものしか残さないので、落選したんだなと、少し残念な気持ちになったのが最後。

ところが、葬儀の機会には気付かなかったけれど、新盆のために帰ってみたら、送った本がそのまま揃っていた。手に取りやすい一群のポジション。

本棚には私が買ったのかと錯覚しそうなラインナップ。趣味が似ていることを思い出す。

最後の接点が、残念なだけじゃなくてよかった。

 


棺桶にお花以外入れられない代わりに、上に留める帯に寄せ書きをしていいらしい。

愛憎入り混じりの混乱の最中に、残していい言葉が思いつかなくてお借りした和歌を最後に。

 


ある時は ありのすさびに憎かりき

なくてぞ人の 恋しかりける