この歳にもなると初めて見る熟語、ましてや皆目見当がつかないようなものには
そうそう出会わない。
久しぶりにそういう出会いがあったのは
「端倪すべからざる」
なる言葉だった。
覚えたての言葉をなにかで使いたいな、と思いつつ数日が経ってしまった。
ふだん使う言葉とはかたさが違うから、どうしても浮いてしまう。
やわらかい言葉は、かわいいし、やさしいけれど
どこかにかたさを入れないと、響かない。
呼吸のようなリズムがないと、吸い込めない。
そんなことを、とりとめもなく、ほの暗い昼下がりに思っていた。
夕方には、夕立でもなく、にわか雨がぱらつくような、鈍色の日。